第34回宝塚ベガ音楽コンクール・木管部門 本選結果
第34回宝塚ベガ音楽コンクール 結果発表
2026年9月12日(土)に「第34回宝塚ベガ音楽コンクール本選(木管部門)」を宝塚ベガ・ホール(宝塚市清荒神1丁目)で開催し、入賞者が決定いたしました。
本選には予選審査を通過した15名が出場。審査の結果、1位に二宮 綾音さん(23歳、神奈川県横浜市)が選ばれ、賞状と賞金50万円が贈られ、併せて兵庫県知事賞も受賞されました。二宮さんには、令和9年(2027年・時期未定)に宝塚ベガ・ホールで開催予定の入賞記念演奏会「ベガ・ウィナーズコンサート」(主催:宝塚市文化財団)に出演していただきます。
また、一般公募による聴衆審査員の審査も実施され、聴衆審査員特別賞には二宮 綾音さんが選ばれました。
受賞された皆様の今後のますますのご活躍を祈念いたします。
第34回宝塚ベガ音楽コンクール 審査結果(木管部門)
| 順位 | 氏名 | 楽器 | 年齢 | 出身地 |
| 1位 | 二宮 綾音(にのみや あやね) | フルート | 23 | 神奈川県横浜市 |
| 2位 | 庄司 直央(しょうじ なお) | クラリネット | 23 | 愛知県岡崎市 |
| 3位 | 森松 風仁(もりまつ ふうじん) | ファゴット | 21 | 東京都三鷹市 |
| 4位 | 鈴木 義了(すずき よしあき) | フルート | 22 | 千葉県千葉市 |
| 5位 | 大場 藍(おおば あい) | フルート | 22 | 栃木県宇都宮市 |
| 5位 | 葛城 裕也(かつらぎ ひろや) | オーボエ | 29 | 京都府京都市 |
| 入選 | 奈良 彩葉(なら あやは) | オーボエ | 20 | 千葉県八千代市 |
| 入選 | 長谷川 釉己(はせがわ ゆこ) | フルート | 18 | 静岡県浜松市 |
| 入選 | 西口 真央(にしぐち まお) | ファゴット | 28 | 神奈川県横浜市 |
| 入選 | 久田 萌(ひさだ もえ) | フルート | 23 | 千葉県我孫子市 |
| 入選 | 米田 優梨(よねだ ゆり) | フルート | 27 | 愛知県刈谷市 |
| 入選 | 宮崎 航大(みやざき こうだい) | ファゴット | 26 | 岩手県盛岡市 |
| 入選 | 白井 宏典(しらい こうすけ) | クラリネット | 24 | 大阪府堺市 |
| 入選 | 村上 小夏(むらかみ こなつ) | フルート | 22 | 北海道遠軽町 |
| 入選 | 北折 衣晴(きたおり こはる) | オーボエ | 19 | 滋賀県大津市 |
| 兵庫県知事賞 | 二宮 綾音(にのみや あやね) | |||
| 聴衆審査員特別賞 | 二宮 綾音(にのみや あやね) | |||
※入選は出演順。
※年齢は2026年4月16日(応募締切)時点。
■講評:大嶋 義実 審査員長
まず、栄えある入賞を果たされた6名の皆様、心からおめでとうございます。そして、本日この場に上がることができなかった9名の皆様にも、本当にお疲れさまでした。皆様の素晴らしい演奏に、心を動かされました。
こうした場では、まず「最初は129名という数多くのエントリーがあり、そこから33名に絞られ、さらに15名に絞られて本日の本選を迎え、その中から栄誉ある6名が選ばれた。皆様はどなたも非常に高いレベルの演奏で、誰を選ぶか本当に迷った」というのが、お決まりの挨拶となるのが常です。そして、存分にお褒めいただいた上で、「技術的には申し分ないが、音楽の表現の真実にもう一歩迫ってほしい」「楽譜をより丁寧に読みましょう」「特に管楽器では音色の追求がまだ甘い」「アーティキュレーションが…」といった指摘が続きます。これもまた、この種の講評の定型です。
しかし、そうしたことは皆様、日々のレッスンで先生方から何度も繰り返し言われていることでしょう。今日はあえて、そうしたお話は置いておきます。その代わりに、私が本選を拝聴しながら考えていたこと「そもそも、コンクールとは何なのか」という問いを、皆様と一緒に考えてみたいと思います。
コンクールは、誰が一番巧いのか、誰が二番目なのか、誰が三番目なのか演奏の上手さに順位をつけることが主たる目的である。多くの方はそうお考えでしょうし、ここにおられる審査員の先生方、応援にお越しの皆様、主催者の皆様も、おそらく同様にお考えだと思います。しかし、私は必ずしもそうは思いません。
本選を聴きながら、私が何より面白いと感じたのは、こういうことでした。皆様は課題曲として同じ楽譜を演奏しているはずなのに、どうしてこれほどまでに違った演奏になるのだろう。どうして、一人ひとり全く異なる音楽が生まれてくるのだろう。同じ楽譜からこれほど多くの異なる音楽が生まれてくるということは、その楽譜のもとになっている音楽について、人それぞれに見えている景色が少しずつ違うのだろうと思います。それぞれの価値観に照らして見える「楽譜の景色」が、このステージの上で色とりどりに繰り広げられていく。それを目の当たりにし、耳にすることができるのは、コンクールでなければ得られない貴重な機会だと感じました。
少し言葉を変えると、こうも申し上げられるでしょう。「なぜ、自分はこのステージに立てなかったのだろう」と思われた方も、きっとおられることでしょう。「私が思い描いていた順位とは違う」と感じられた方も、いらっしゃいます。あるいは、もしかすると審査員の先生方の中にも、ご自身がつけた順位とは違う結果になったと感じられた方がいるかもしれません。勝ち上がられた6名の皆様に水を差すような言い方になってしまい、どうかお許しください。
コンクールは、十九世紀末にパリで始まったとされる、長い歴史を持つものです。そして、昔から必ず、「本当にこの結果でいいのだろうか」というモヤモヤが付きまとってきました。実は私は、このモヤモヤが多ければ多いほど、そのコンクールの実りは豊かなものになるのだろうと思っています。
このモヤモヤは、出場者の皆様にとっては、とりわけ「葛藤」というかたちで現れます。そして、人間の成長を最も活性化させるのは、心の中の葛藤なのです。葛藤を抱えている人は、必ず成長します。
ステージに上がれなかった方の中には、「なぜ自分ではないのだろう」と思われた方もいらっしゃるでしょう。6名の中にも、「なぜ自分が三位なのか。一位のはずだ」と思われた方もいるかもしれません(どうか誤解なきようお願いします。責めているわけでは決してありません)。あるいは、一位の方でさえ、「自分が一位になったけれど、本当にこれでよかったのだろうか」と思われたことでしょう。
そうした葛藤を経験するからこそ、人間は成長していくのです。ですから、ステージに上がれなかった皆様も、ステージに上がった皆様も、どうか考え続けてください。「なぜ私の演奏はこういう評価だったのだろう」「もう少し違う評価であってもよかったのではないか」「あの演奏のどこが評価されたのだろう」「ミスは多かったけれど、それでも彼女は評価を得ていた」そういったことを考えれば考えるほど、皆様の音楽は確実に深みを増していくはずです。
さまざまなコンクールに挑みながら、なかなか良い結果に恵まれず、諦めかけておられる方も大勢いらっしゃることでしょう。どうか、そこで諦めないでください。私がこれまで指導してきた中にも、コンクールでは思い通りの結果を残せなかったにもかかわらず、その葛藤を乗り越えて、世界的なオーケストラのオーディションに合格し、奏者になった方がいました。必ずしもコンクールの結果が 全てではありません。
どうか皆様、これからも数多くの葛藤を経験しながら、ひと回りもふた回りも成長していってください。皆様の輝かしい未来を、心から期待しております。
最後に、本コンクールにご尽力いただいた審査員の先生方をはじめ、運営にご協力いただきました関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。














